「なにソレ!うっざ!
アンタ何ノコノコこの地下街に入って来てんのよ!?
そんで、なんでよりによって薬屋に名前教えるわけ!?バッカじゃないのっ!?
…もう、サイアクッ!!
アタシの店に来るってこと自体ありえないから!!」
「!? ……えっ?へ?」
呆然とする私を置いて、お肉屋さんは口汚い言葉を吐き続ける。
何に対して怒ってるのか分からないけど、これは分かる。
―――この人、私のこと嫌いみたい。
こんな真っ向から嫌われるっていうのもなかなかできない経験だ。悲しさを通り越して感動すら覚えるよ。
「さっきも電話で薬屋に“お店開いてくれ”って頼まれなきゃ、こんな時間から開店しないっつーの!!
おまけに配達員じゃなくて地上人のガキ使わせるとか…、マジうざいんだけど!!」
「そんなこと私に言われても。
私ほら、お使い頼まれただけだし。」
だんだんお肉屋さんの罵倒を聞くのも飽きてきて、私はショーケースの中に並べられたお肉を観察し始めるのだった。