「…ヨシヤに頼まれて、お肉買いに来ました。
これで買えるだけください!」


言いながら、ガラスのショーケースの上にお金を出す。

お肉屋さんはじろじろとお金を眺め、ついでに私のことも眺める。いや、睨むといったほうが正しい。



「…ヨシヤ…って、薬屋のことよね?

アンタ、薬屋の“何”?」


「エ……。」


何、と言われてもな…。
それにどこか、お肉屋さん怒ってるみたい…。


「…私、お手伝いしてるの。
お店が忙しいからってお願いされて…。」


名前を支配されたことは黙ってたほうがいいのかな。

するとお肉屋さんの目つきは更に鋭くなる。


「…アンタ、地上人?
まさか薬屋に名前支配されたとか…っ?」


「!?」

見事に言い当てられてしまった。


狼狽えながらもコクンと頷くと、お肉屋さんの目つきはもうナイフ以上にキリリと研ぎ澄まされていった。