「奈々ちゃんがかわいいから見るのが恥ずかしいんだ」

そんな作ったセリフは棒読みになっていなかっただろうか。

しかしあまりに恥ずかしい事を真剣に言ったので、思わず顔が赤くなったことが功を奏したようだ。

「そんな…」

しかし、この言葉は必要以上に、奈々を勘違いさせてしまったかも知れない。

奈々の赤らめた顔を見て、少し後悔した。

だけどその顔を見てかわいいと思ったことも、また事実だった。

まずい。心が奈々に惹きつけられる。

僕の心臓がいつもよりも高く、鳴っていた。