「ねえ、瞬くん。どこの大学を受けるの?」

今日、僕から奈々に話しかけることはなかった。
でも奈々は僕の何を気に入ったというのか、ことあるごとに話しかけてきた。

「うーん。何個か志望はあるんだけどね」

奈々と話すことが嫌なわけじゃないが、出来れば目は合わせたくなかった。

だけど奈々の目を避ければ避けるほど、奈々は僕を覗き込むようにして見てくる。

「瞬くんって目合わせてくれないね。誰にでもそうなの?」

「違うよ」

奈々に目を合わせて、呟く。