「静かにしろ、転校生を紹介するから」

先生が大きな声をあげて見知らぬ少女の登場にどよめく教室を制する。

「あれだ…」

隣では矢野が口を大きく開けて、その少女を一心に見つめていた。

矢野が見つめる少女を見た。

確かに、美しい。

栗色の髪をたなびかせ、すらりとした体がどこか弱々しく立っている。

見るだけで心が惹かれる思いがする。

少女に、心が吸い寄せられる。