「そうなんだ。うちの制服だったんだよ。だけどあんな子見たことないんだけどなあ」

「違う学年なんじゃないの」

それでもあんな かわいい子がいたら分かるよなぁ、と矢野は首を傾げる。

そんな話をしているうちに、予鈴が教室に鳴り響いた。

皆が席に着き始める。矢野はぼくの隣の席なので、まだ立ったままだ。

「そんなにかわいかったの?」

矢野は大げさに頷いた。よほどのヒットだったようだ。

「例えば誰に似ているの?」

矢野は考えながら教室の前方に目をやり、指を差し出した。

「そう、あの子に似てる…」

幾分静かになった教室にいつの間にか入っていた担任の先生と、見たことのない少女がうちの制服を着て立っていた。