長ったらしい矢野の話を簡単に要約すれば、今日の登校中に曲がり角で、ある女の子とぶつかったこと。

その子がやけに美少女だったこと。まあ小説やテレビの中でよくありそうな話だ 。

もっといいことは、偶然にもその衝突で矢野のではなく、その女の子の傘が壊れ、学校まで一緒に相合い傘できたそうだ。

作った話じゃないのか?

矢野は僕の白けた目に真剣に語る。

「マジだって。こんな話、嘘だったら恥ずかしくて言えるかよ」

確かにそうだ。
あれ、だとすると学校まで相合い傘で来たということは…。