「照れちゃって」

だけど母は、僕に普通の人間として生きていき、普通の恋愛をすることを望んでいる。だから母にそんなことは言えない。

「照れてなんかいないよ」

僕のふてくされた声にも笑って返し、母はボウルを寄越した。

「さあーこれも食べて」

「うん」

僕の元に伸びる母の手。

その細くて白い肌に残る一本の傷。