しかし……何でゴン太はあんなに怒るのかな?

嫉妬……?

犬なのに……?

いや。犬……だから……?

ギュッとしたときのあの顔。

絶対嫉妬だよなー。


「……犬なのに。」

「犬がどうしたの?」

「いやー。何でもない!それよりできたよ!」


僕が朝食の準備をしてる間、朱里は洗面所に閉じ籠ってる。

もう10分近く……

着替えるだけで10分って!

どれだけ着込んでるの……か……な……?


「おまたせっ!」


洗面所から出てきた朱里は、黒いシンプルなワンピースを着ていた。

それはいい!

ただこれを着るために10分?って思ったら、どうも違う。

何でかな?と思ってみると


「あー!髪型!」


いつもは肩より少し長い髪を下ろしているけど、今日は頭の上でお団子にしてる。

いつもの下ろしている姿も可愛いけど、アップにすると印象が違う。

うなじが出てて、色っぽいというか、大人っぽいと言うか……




「早く食べて、水族館!」



……だけど、言ってることはいつもと同じで、子供っぽい。


「ギャップありすぎー!」

「何が?」

「ううん!何でもない。ささっ、食べちゃおう?」



納得のいかないような顔をしてパンをかじっている。

その表情がまた子供っぽくて


「朱里は可愛いなー」

「グッ……ゲホゲホッ……」



……噎せられた……