「……ただいま……」


玄関を開けると、そこには


「どこ行ってたの?」


仁王立ちして、怒った顔の朱里と、まだ眠そうにあくびをするゴン太がいた。


「――!ビックリしたよ!」


驚かせる前に、驚かされた。


「起きたらいないから、スッゴい心配したんだから!」

「いや……ちょっと散歩?」

「何で疑問形?」

「……朱里ちゃん、ものすごく怖い……」

「当たり前でしょ!起きたらいないんだもん!心配するでしょー……」



人間って、心配しすぎると泣けてきちゃうんだ……



って!そうじゃなくて!

初デートだーって喜んでたのに、朝から泣かせちゃった。

だけど、僕を心配して泣いてくれるなんて……


なんて可愛いんだろう!



「……心配、した?」

「…当たり前でしょ……」


ポロポロと涙を流す朱里が可愛くて、愛しくて、僕はギュッと抱き締めた。


小さく抵抗されたけど、その抵抗もすぐになくなり、僕の腕の中で小さく丸まっている。

やっぱりまだギュッと抱き締めるのは恥ずかしい。

だけどもう少し、朱里を腕の中に置いておきたいな。

そんなことを思っていたら、足元のゴン太がじっと睨んでて……


腕を解くしかなかった。