午後の商店街は、夕飯の買い物客で賑わっている。

その中をのんびりと手を繋いで歩いていた。


「夕飯は何がいい?」

「うーん…中華……かな?」

「また中華?」

「…だめ?」


朱里の甘えたような上目遣いに、僕は弱い。

特に“好きだ”と言ってしまった日から……



――ということで、今日も朱里の好きな中華になりそう。


朱里の中華好きにも困ったもんだ。

“何食べたい?”って聞くと、大抵“中華”って答えられる。

答えがわかってて、それでも聞く僕も僕だけど…


「中華か……じゃあ、今日は餃子にしよっか?」

「うんっ!颯太の餃子、おいしいもんね!」

「じゃあ、おいしい餃子のために、手分けして買い物しよう?」

「オッケー!」


この商店街は結構広い。

だから時々二人で買い物に来ると、手分けして買い物をする。

特に買うものが多いときは。


「じゃあ、朱里はお肉屋さんに行ってきて。僕は八百屋さんに行ってくるから。」

「うん!」

「終わったら、商店街の端っこで待ってて!」

「はーい!」


元気な子供のような声を聞きながら、僕は商店街を歩き始めた。

まずは八百屋でキャベツとニラだな。

…そういえば、味噌がなかったな……



そんなことを思いながら振り返ると、肉屋の親父と楽しそうに話をする朱里が目に入った。



子供のおつかいみたいだと毎回思うけど、朱里に言うと本気で怒りそうだから黙っておこう。