裏口のサラリーマンの前を通ったけど、意外とバレてない?!

僕たちをチラッとも振り返らなかった。

でも、サラリーマンが二人になったってことは、完全にバレてるってことだよな。

まあ、あれこれ悩んでもしょうがない。

なるようになるさ!



なんて思いながら隣の朱里を見ると……

なんと!

ニコニコと笑ってるじゃないですか?!

ななな何で?

さっきまで手が震えてなかった?


「ど、どうしたの?」

「…ん?」

「ニコニコしてるから」

「……ナイショ。」

「ナイショって。教えて?」

「……」



“……”って!無視ですかー!



もう完全に一人の世界。

僕の声も聞こえていないのか、ニコニコしたり、口を“へ”の字にしたり、時々顔を赤くしてみたり……

朱里が何を考えているか、僕には想像がつかない。


「…――いつか、頭の中を見てみたい……」

「…誰の?」


――!こういうことは聞こえてるんだー!



少し拗ねたような視線を後ろに感じながら、僕たちは商店街へ向かった。