ヴィオレット 円卓の間
「結祈、昶、朔姫、陸人、ギネヴィア、駿、紅晶、そして私を含めて八人。全員いるな」
問い掛けても返ってくる言葉はない。
同時に異を唱える様子もなく、その沈黙をジョエルは肯定と受け取る。
「では会議を始める。今回は言うまでもなく、次期リーデルについて最終的な結論を下してもらう。その前に発言したいと思う者がいれば遠慮なく――」
「オレはあかねがリーデルに相応しいと思う。いや、あかねがリーデルになるべきだ。オレ達のことを真剣に考えてくれる。ちゃんと向き合ってくれて、大切に想ってくれる。そんなヤツ、いくら探したってそういない」
ジョエルの言葉を遮りながら、昶は立ち上がってそう言い切る。
その表情は覚悟を決めたように真剣で、いつになく自信に満ちていた。
「俺もだ。きっかけは些細な事だったが、彼女の存在があったからこそ今ここにいる」
「同じく。あかね様がいなければ、今の私はありません。新参者である私には過ぎた言葉かも知れませんが、あかね様こそ次期リーデルとしてふさわしいかと思います」
昶の言葉に続くように、駿と紅晶も自身の思いを順に語り出す。
それぞれあかねに対して思うことに違いはあれど、彼女をリーデルにという想いは同じだった。
「では昶と駿、紅晶の三人は、桜空あかねが次期リーデルになることに異論はない。ということか」
その言葉に、三人は無言で頷く。
迷いのない彼らの意志を確かめると、ジョエルは口を閉ざしている四人に目を向ける。
「残りの者達も答えが出ているなら、遠慮することはない。どちらの答えを選んだとしても、咎める者はここにはいない」
そうジョエルが言ったものの、結祈達は互いに顔を見合わせ口を噤んだ。
その直後、扉が開く音が彼らの耳に響く。
この場にいる全ての者の視線の先。
そこにいたのは――。
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