もしそうなれば
再び表舞台に立つことになるけれど
今以上に思うように動くことができるし、何より面白そうだ。
ただ一つ不本意なことがある。
それは結果的にとはいえ、
彼の目論見通りになってしまうこと。
君が自分のチームに彼を引き抜こうとしていたように、彼もまた私を引き抜こうとしていた。
まぁ以前そこにいたから、他よりは抵抗はないけれど、感情が彼を拒絶しているんだ。
だからずっと断っていた。
加えて彼を歪に感じる時がある。
特に彼女の事となるとそれは顕著だ。
とは言っても
彼のことは嫌いではない。
性格は君も察しの通り大いに癖があるけれど、それはお互い様だし、何だかんだ言っても
少年時代からの付き合いだからね。
欲を言えば、あれだけのルックスなのに、女性に関心がないのは残念だけれど。
ちなみに彼の息子も
年齢の割には幼い外見だが
なかなかの美少年だ。
色素や目元は母親似だけど、総合的に見れば間違いなく彼に似てるね。
とくに性格は言うまでもない。
本人達には決して言えないけどね。
まぁ今更戻ったところで、私の空虚を満たす見込みもなかったというのも事実だったりするけど、最もな理由はそれかな。
でも今はそう思うより
彼女の行き先を見ていたい。
今よりもっと近くで。
……彼女が気になるって?
ふふ。残念だけど
君にまだ教えるわけにはいかない。
来たるべき時が来るまでは、
私達の彼女でいてほしいからね。
とにもかくにも
私は心は今、この上ないほど
とても満たされているよ。
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