おや……。
誰かと思えば君か。
久しぶりに会ったけれど
元気そうだね。
一応気に掛けてはいたんだ。
折角の依頼を断ってしまったし。
そうだ。
お詫びと言っては何だけれど、私の話に付き合ってくれないかな。
嫌なら聞き流してくれて構わない。
でも君には感謝しているんだ。
君がはぐれ者である私に仕事を持ってきてくれなければ、こんなにも有意義な時間を過ごすことはなかったはずだからね。
振り返ればここ二ヶ月、
実に刺激的な日々だった。
詳しく言えば、少々退屈さを覚えていた私には斬新かつ愉快な出来事がただあった。
中でもとある少女の存在が何より大きい。
初めて彼女と出会ったのはあの館だったんだけど、目を奪われたよ。
彼女の存在自体に。
ああ、恋愛的な意味ではないよ。
彼女は私の好みとは離れているし。
けれど私の心を酷く掻き乱すモノを持っていたんだ。
それも一つじゃない。
驚くほど沢山持っていたんだよ。
それに気付いて、私は彼女に興味を示した。
とはいえ
最初は彼女が持っているモノに惹かれていたわけだけれど、次第に彼女自身にも惹かれていったんだ。
もう二度と他人に惹かれることは
ないと思っていたはずなのに。
君からしたら、大袈裟かと思うかも知れないけれど
この私が多少なりとも執着を示すのだから、彼らもきっとそう思っているよ。
何故なら彼女は
秩序の明星だからね。
まだ未成熟で小さな輝きだけれど
いずれは大きな輝きとなるだろう。
その証拠に私にも彼らにも様々な影響を与えているのだから。
そして新たな仲間も増え、無意味な秩序はかつての輝きを取り戻しつつある。
……私がどう影響されたか?
そうだね。
全てと言いたいけれど
強いて言うなら……
傍観者から観測者になったというところかな。
誰に頼まれるわけでもなく、自らの意志で事の成り行きを推し量っていたし、彼女の為になるように行動していたからね。
……ああ、失礼。
後者は意味が違ってしまうね。
となると、観測者はやや味気ないね。
私も思いの外、貪欲だからつい欲張ってしまう。
私もいっそのこと、表舞台に立ってしまおうかな。
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