「うん。彼について知りたいの」
瀬々の言葉にあかね頷き、真剣な面持ちになる。
事は五日前、夜中にアーネストが館に戻って帰ってきたときのこと。
一見普段と変わらないと思えたが、彼が抱えて連れてきたのはぐったりとして意識のない血まみれの男で、義理の家族の事や心を抑えきれずに涙したりと怒涛の一日の中でも、それは最も衝撃的な出来事であった。
結祈達の迅速な処置で一命は取り留めたが、未だ意識は戻ってはおらず、ジョエルを除くオルディネ所属者達とあかね、アーネストで時間が空いては交代制で看病をしている。
そして昨日、朔姫と交代で看病をしていた時アーネストと居合わせ、彼が例の生き残りであると知らされたのだった。
「具体的にどういったことが知りたいんスか?」
「まずは彼の基本的なプロフィール」
「基本的ね……とりあえず名前は知ってるんスか?」
「うん。アーネストさんが名前だけは教えてくれたから」
「そうッスか」
瀬々は呟くと、ポケットから手帳を取り出す。
「とりあえず書き留めた情報は……名前は柳泰牙。推定年齢26歳。異能は自然系で推測では風。潜伏場所は定期的に変えており特定は困難。しかし近年は第五区で目撃情報ありと。まぁ俺的には、大した情報ないと思うんスよね」
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