そうは言うものの、どこか腑に落ちない表情をするジョエル。
気付いてないのか、アーネストは特に気にする事もなく話を続ける。
「そうでないなら安心したよ。君は彼の事になると暴走するから」
「余計な世話だ」
「おや、それはすまなかったね」
詫びの言葉を軽く述べると、アーネストは席を立ち扉の前まで歩いて行く。
「さて、今日はもう寝るよ」
若干疲れ気味な表情をしたアーネスト。
恐らく能力を使用した頻度が多かったのだろうと推測する。
能力によっては体に負担をかける者もいて、彼はその類である。
「その方が良さそうだな。やはり体力作りしたらどうだ?」
「親切にどうも。その助言、有り難く頂戴するよ」
恭しく述べてドアを開ける。
「それじゃ。明日からとても楽しみだよ」
「フッ……せいぜい彼女を助けてやるんだな」
「君は助けないのかい?」
「愚問だな。私が無条件に手を貸すとでも?」
その言葉にアーネストは納得したのか、静かに微笑んだ。
「それもそうか。じゃおやすみ」
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