あたかも他人事のように話すジョエルだが、それは彼自身にも影響する事ではないのだろうか。


「ジョエルは平気なの?」

「……オルディネが無くなる事は心痛いが、身の守り方は熟知しているのでな」


それは強者の考えだ。
最も彼に他人の心配はおろか、自分に害が及ばなければそれでいいのかも知れない。


「いずれにせよ、君の選択によって人生が変わる者がいるという事だ」


突き落とすような言い方をするが、これは反応を試しているだけなのだろう。
愉しげに笑っているのが、何よりの証拠だ。


「………分かった」


結果がどちらに転ぼうと、自分に何かがあるというわけではない。
それでも関わってしまった以上、捨て置く事は出来ないのも事実だった。


「困った時は遠慮せずに言って、あかね嬢。出来る限り協力するから」


笑顔で言うアーネストに安堵はするものの、やはり不安は拭えない。


「どちらの方法を取るのか、或いは別の方法を取るかは君次第だ。二ヶ月と期間は短いが、せいぜい頑張ってくれ」


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