怪しげな笑みを浮かべるジョエルを見ながら、あかねは耳を済ませる。


「決して容易な事ではないが、こちらの方が効率いいだろう」


あかねは紡がれる言葉を静かに待つ。


「無所属の異能者をオルディネに所属させる事だ」

「無所属の異能者?」


呟けば、ジョエルは静かに頷いた。


「異能者はどこかしらチームに所属するのがルーツだが、未成年などチームに所属せずにいる異能者がいるのもまた事実だ。そんな彼らを君が見事に引き入れることが出来れば、自動的に賛成側になるだろう」

「確かに。けど誰が異能者とか所属してないとか分からないよ」

「だからこそ私達を使えばいい」

「え?」


ジョエルの提案に首を傾げる。


「幸い、私もアーネストも人脈は広い上に多少のコネもある」


それは決して堂々と言うものではないと思うのだが。と内心突っ込むあかね。


「そう……もう一つ聞きたいんだけど、もし私がリーデルになれなかったら――」

「無論、解散だ」


告げられた言葉は短いが、何故か重くのし掛かる。


「そしたら……どうなるの?」

「どうもこうも、このオルディネはなくなる。そして私達は異能者としての安全が保証されなくなるだけだ」


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