ジョエルの指す限られた者達と言うのは、恐らく賛成派の者を指していたのだろう。
優しく接してくれる結祈であっても、反対派である事には変わりないのだ。


「では話の続ける。君が食堂から去った後の話し合いで、反対という結果で終わった。とりあえずはな」

「とりあえず?」

「私が一つ条件を出した。このような状況になるのも想定内だったからな」


リーデル不在のオルディネを纏めるジョエルからすれば、彼等の反応も予通りだろう。
それを見据えた上でのあの宣言だったとしても、何ら可笑しくはない。


「どんな条件?」

「二ヶ月の猶予をやれとね。誓約書の提出期限は幸い六月だ。よってその二ヶ月の間に彼等を認めさせる事が出来れば、君は誰にも咎められずにリーデルになる事が出来る」


ジョエルは簡単に言ってのけるが、それは至難の業だ。
理由はどうであれ、危機に直面しているオルディネに所属しているのだから、彼等には何か目的があったり、はたまた強い何かを持っているに違いない。
そんな彼らに認めてられるとは、あかね自身とても思えなかった。


「…確かに君が思っている通り、それは難しい」


顔に出ていたのか、はたまた想定内だったのか。
あかねの心情を察するジョエル。


「だからこそ、もう一つの方法を君に勧めよう」


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