「しかし問題が発生した」
そう言うと同時に、ジョエルは机に置いてあったであろう一枚の用紙を手に取ってあかねに見せる。
そこには“ボク達は新しいリーデル就任に反対します”と手書きで書かれた文面、そしてすぐ下にはジョエル以外のオルディネ所属者の名前が書かれていた。
「オルディネに所属する者の内、私以外の者が君のリーデル就任に反対している。この薄汚い用紙が何よりの証拠だ」
「……うん。だと思う」
「ちなみに、そこにいる結祈も反対派だ」
振り返れば、結祈は申し訳なさそうに目を伏せている。
だがそれは仕方ない事だと分かり切っているので、あかねに責める気は毛頭なかった。
「本来なら私の独断で決めても問題はないが、現状で内部分裂でもすれば、今度こそオルディネが危うい。私としては事を穏便に運びたいということだ」
ジョエルはあかねの耳元に顔を寄せる。
「だが私は、何としても君をリーデルしたい。もし君に、少しでもその気があるのなら……限られた者達だけで話をしよう」
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