「ッ……!」
至近距離だったせいか、ジョエルが息を呑む音が聞こえた。
あかねは自分の導き出した答えが的を得ていたと確信する。
「私はまだあなたの事を信用してない。騙されたばっかだし……それでもオルディネを想う気持ちに、嘘偽りは無いと信じている。だから教えて」
透き通る青い瞳で、ジョエルを見据える。
サングラス越しからうっすらと見える紫の瞳は、驚きを隠せないまま、されどはっきりとこちらを捉えていた。
青と紫が交差する。
どれほどそうしていたのだろうか。
徐々に耐えきれなくなったジョエルが、とうとう視線を逸らした。
「不覚にも……小娘如きに一本取られるとはな」
それが精一杯の悪態だったのだろう。
そんな事は気にせず、あかねは言葉を続ける。
「ならちゃんと答えてくれる?」
そう言えば、ジョエルは頷いた。
「ああ。元よりそのつもりだ」
彼の発言から答える気は本当にあったらしく、食堂の時の言葉が嘘ではないことをあかねは知る。
「まずはリーデルの件だが、未熟ながらも君にはその素質がある。その証拠にこの短時間で、後ろの二人を既に手懐けているだろう」
.