強く頷く結祈を見て、あかねは何を思ったのか彼に抱きついた。
「あ、あかね様!?」
「ありがとう結祈!すっごく嬉しい!」
もしかしたら拒絶、良くても距離を置かれるのではないかと思っていた。
だが予想に反し、結祈は変わらずに接してほしいと言った。
リーデルという観点からではなく、個人を見ていてくれた事が、あかねにとって何よりも嬉しかっただ。
「嬉しいのは分かりましたから!は、離れて下さいッ!」
初めて見る結祈の慌てぶりに、内心面白いと思いながらも離れる。
頬を赤く染めながら焦ったような困惑したような表情で、落ち着きを戻す為に咳払いをしていた。
「あかね嬢はなかなか大胆だね。そこもまた魅力的だ。良かったら、私にもしてくれないかな?」
「いいですよ」
「駄目です!」
アーネストにも抱き付こうとすると、結祈が抗議に声を上げる。
「ふむ……結祈がしてもらえて、私がしてもらえないのは、些か納得いかないね」
「これは事故ですから!それに貴方は他にもお相手がいるでしょう!!」
「おや、これは手厳しい」
それでも笑みを崩さないアーネスト。
結祈に言われる事を分かっていたのか、さして痛手を感じてはいないようだ。
「話は変わるけど、君がここに来たという話は終わったのかな?」
「はい。今頃は皆さん自室にいるかと思われます」
「ジョエルは?」
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