自分をリーデルにする事も、オルディネを解散の危機から救う為の行為であるなら合点はいく。
だからと言って彼に騙された事には変わりはなく、納得はしていない。


「何かを大切に思う気持ちは、悪い事ではないと私は思います」


――むしろ好きだ。
――それだけ人は頑張れる事を知っているから。


「でもだからこそ、彼に説明してもらいたいんです。じゃなきゃ、分かるものも分からないし、出来る事も出来なくなっちゃう」


立ち上がって挑戦的な笑みを浮かべて言えば、アーネストは目を丸くした後、優しく微笑んだ。


「あかね嬢。君は素晴らしい娘だね。その前向きな性格、とてもいい」


アーネストは視線を合わすように屈んで、あかねの頭を優しく撫でた。


「余計な事かも知れないけど、私から見るに君はリーデルの素質は十分にある」

「そうなんですか?」

「沢山のリーデルを見てきた私が言うのだから、間違いないよ」

「……ありがとうございます」


微笑むと同時にドアを叩く音が聞こえた。
駆け寄ってドアを開ければ、そこには結祈の姿があった。


「あ、結祈!」

「失礼します。入っても宜しいでしょうか?」

「うん!どうぞ」


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