「ジョエルの?」

「彼は異能者の中で、五本指に入る実力者だからね。発言力もそれなりあるんだ」

「そうだったんですか……」


知らなかったとは言え、胡散臭い変質者とばかり思っていたあかねには、意外過ぎる事実であった。


「リーデル不在となってから、オルディネの解散は何度も審議に掛けられていた。これはあくまで推測だけれど、その度にジョエルが協会側を説得していたのだと思う」

「…………」

「まぁ…彼の様子を見る限り、それももう限界なのかも知れないけど、ね」


どれくらいの期間かは知らないが、彼一人の説得ではいずれは限界は来るのは想像に容易い。
それでも守りたいものなのだろう。


「ジョエルにとって、オルディネは大切なものなんですね」


話を一通り聞いて、率直に思った事をあかねは口にした。
それ対してアーネストは不思議そうに目を瞬かせる。


「どうしてそう思うんだい?」

「ジョエルのしてる事って一見横暴だけど、今の話を聞くと、それは全部オルディネの為にしているとしか思えなくて」


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