それは何とも、ありがた迷惑な話である。
あかねは心の内で、悪態をつく。


「ちなみに、オルディネが解散の危機である理由は聞いたかな?」

「えっと、確か人材不足うんぬんって」

「そうだね。それが一番の理由だ。では……何故、人材不足なのかは分かるかい?」


突然の問い掛けに頭を捻る。
異能者社会の仕組みを完全に理解出来ていないあかねには皆目見当もつかなかったが、話の流れからしてそれらしい答えを口にする。


「……リーデルがいないからですか?」


どうやら当たりだったのだろう。
アーネストは苦笑している。


「そうなんだ。さっきも言ったと思うけど、リーデルとはチームの象徴。誇るべきモノがないチームに、誰が進んで入りたいと思うかな?」

「……なるほど」


象徴がないという事は、明確なものがないと取れるはずだ。
身の安全を第一としてチームに所属する異能者達からすれば、それが不明瞭である時点で、敬遠するのは至極当然な行為だろう。
進んで危ない橋を渡る者がいないのと同じように、オルディネに入ろうと思う者はまずいない。


「本来リーデル不在のチームなどあってはならない。それでもオルディネが今日まであり続けているのは、紛れもなくジョエルのお陰だ」

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