そしてよくよく思い返してみれば、彼を不気味だと感じても悪意は感じられず、やはり真意は読み取れない。


「君は騙されたわけだね」

「……そうですね」


あかねは渋々肯定する。
またあの男の思惑に嵌ってしまったと思うと、嫌悪と悔しさと憤りを感じる。


「別に信じていたわけじゃないです」


むしろ警戒していた。
だが真意がどうであれ、あの時ジョエルが嘘を言ってるとは思えなかったあかねは、彼の言葉を受け入れる事を選んだ。
事実、オルディネに所属するという意味合いでは間違ってはいない。


「自分が甘かっただけかも」


警戒しているなら全く耳を貸さず頑なに断れば良かった事で、また話をただ聞くだけでも良かったはずだ。
どちらにせよ、今となっては完全に自分の落ち度である。


「取り消す事って、出来ないんですかね」

「……難しいだろうね」


気まずかったのかアーネストは間を空けて答える。


「リーデルの誓約書は、協会に申請して特別得られるものなんだ」

「協会?」

「協会とは、チームを統括し管理している役所みたいなもの。そこに申請して得るものだから、協会は新しいリーデルの誕生を知っているのと同時に、待ち詫びているだろうね」


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