黎明館 三階自室



アーネストに付き添われて自室に戻れば、緊張が解けたのか体がどっと疲れ、椅子に思い切り座り込んだ。


「すまないね。彼の茶番に付き合わさせてしまって」


ここにいないジョエルの代わりに、アーネストが謝罪を口にする。
しかしあかねは首を横に振った。


「アーネストさんが謝る事じゃないです。それに……」


ジョエルが言ってた事は茶番ではない。
あかねは何となくそんな気がした。


「彼は人を追い詰めたりすることはあるけど、あそこまで悪質ではないんだ」

「…………」


それでも弁明するアーネストだが、正直そんな事などどうでも良かった。
ただ彼の、ジョエルの真意がどこにあるのか気になって仕方がなかった。


「あの…聞いてもいいですか?」

「リーデルの事かい?」


口にする前に言われ、あかねは黙って頷く。


「チームの事はジョエルから聞いてるね?」

「はい。世間に馴染めない異能者達を保護する組織だと」

「そうだね。なら話は早い。リーデルとは各チームに必ず一人ずついて、それぞれのチームの中で一番権力を持っている人の事だ」

「つまり組織のトップって事ですか?」


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