ジョエルは淡々と述べると、あかねに背を向ける。
まるでこれ以上の口答えは許されないかのように。
それでも彼の言葉に嘘が含まれているとは思えず、あかねもまた追及することはしなかった。


「やれやれ……君はどうしようもないね」


アーネストは呆れながらも、あかねの肩にそっと手を置く。


「行こうか。あかね嬢」

「……はい」


返事はしたものの、ふと自分がこの場を去ってもいいのだろうかと思案する。
何も言わずに去れば、それこそ混乱が増すのではないかと不安に思い、あかねは躊躇し足取りが重くなる。
そんな心情を察したのか、アーネストは彼女の背を軽く叩くと優しく微笑んだ。


「大丈夫。彼等も馬鹿じゃない。君が心配するような事はないから」


その言葉は真実なのだろうか。
分からない。だが、少なくともアーネストが自分の身を案じて言ってくれているのだけは分かった。


「分かりました」

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