「真珠の事を大切に思ってるのは、良くわかるんだけど、とりあえず私の事も応援してほしいんだけど」

ほんの少しその場の雰囲気を変えるように、貴和子がため息を吐いた。

「あの男前の弁護士を捕まえるのは、そうそう簡単な事じゃないってわかってるけど、トライするチャンスはあると思うんだよね。
彼だって私の事気に入ってるような目で私を見てたし」

ふふん、と笑う貴和子には、自信があるのか言葉も力強い。

自分を気に入ってるなんて、どうすればわかるんだろう。

私には経験ない。

受付嬢としてたくさんの人と接しているから、やっぱりそのへんの機微はすぐにわかるのかな。

「あいつと、連絡先交換してないのか?」

海が、楽しげに笑った。

「もちろんしたわよ。週末何度かメールのやり取りもしたし、明日飲みに行く約束もしてる」

「じゃあ、別に俺が間に入らなくても自分たちで進めればいいんじゃないの?
あいつだって友達の俺が余計な事言うより自分で動く方が気楽だろ」

確かに。貴和子たち本人同士で動いた方がいいと思う。

そう思って小さく頷くと。

「あー、それって今回は無理かも。私以外にも彼を狙ってる女が何人かいるみたいだから。私も頑張るけど、プラスワン。
他とは違う何かに後押しして欲しいんだよね」

腕を組んで真面目な顔をする貴和子は、恋愛の事を話しているというよりも何か仕事の戦略を練っているような雰囲気がする。