貴和子からのメモを机の片隅に貼り付けたあと、今日の午後からの会議で必要なデータを取り出そうとパソコンに向かった。

総務部という大雑把なイメージが先行して、結構緩やかに時間が流れていると思われがちだけれど、実際は忙しくて仕方がない。

会社によっては、総務部と法務部を分けたり、庶務関係の事務仕事だけの部署を作っているところもあるらしいけれど、私が在籍しているこの会社では、会社の定款に記載されているメインの業務である建築関連以外の殆どの業務は総務部に集約されている。

そのせいか、多種多様、ありとあらゆる仕事を請け負う部署として認知されている。

そんな事を望んではいないけれど、実際に仕事は年がら年中、山積みで、残業なんて当たり前。

正直、建築系だけでなく、単純に事務職として戦力になる新入社員をたくさん採用して欲しいと切実に願う。

「去年の株主総会の議事録、こっちに回してよ。できれば紙で頂戴」

秒速の速さでパソコンを操作していると、背後から課長の大きな声が届いた。

きっと、私の方なんて見ずに、自分の仕事から目を離していないはずだ。

私も同じようにパソコンを操作する手元から目を離さないまま、

「5分以内に用意して席に持っていきまーす」

大きな声で叫んだ。

私たちだけじゃない、部署内のメンバーほとんどはそんな感じで忙しく業務をこなしている。