「俺も、真珠さんがキレて新人たちにお説教浴びせてるところ、見たかったな」

司の背後にいた、彼の後輩がぬっと顔を出して、楽しそうにそう呟いた。

その言葉に、司も同意するように頷いてるし、なんなんだ。

私は滅多に怒ったりキレたりしないのに。

「……ご期待に添えず、すみませんね」

私達の会話が周囲から注目を浴びているような気がして、とりあえずそう言って二人に背を向けた。

ふと気づくと、私たちの話はみんなに聞かれていたようで、新人たちからも、興味深そうな視線を投げられていた。

「じゃ、私は終わったから、戻るし」

そう言い残して会議室を後にしたけれど。

エレベーターに乗った途端に思い出したのは、司が呟いた

『都築に確認しておこう』

って言葉だ。

司が何気なくさらっと口にしたせいで、それほど気にもとめなかったけれど、都築君って、あの都築君かな。

資本金に関してスラスラと正確に答えてくれた彼の事?

え?司の知り合いだったのかな。