そして、都築くんの説明が終了して、新入社員たちからは驚きの表情。

それらを予想していたかのように落ち着いたままで、都築くんは頭を下げた。

「完璧です。今すぐ総務部に欲しいくらい。……でも、設計で採用されているのよね。これからも、頑張ってね」

苦笑しながらそう言うしかない私に、会議室の後ろから部長のにやりとした表情が届いても、何だか悔しくはなかった。

普段、私が携わっている仕事についての知識を持っている新入社員の存在を知る事ができて、嬉しい気持ちの方が強い。

設計を仕事としてこの会社に入社してくる人が大半を占める中で、総務部や人事部、いわゆるスタッフ部門と呼ばれる人員は多少肩身が狭い思いをしているのも事実で。

そんな人員や部署がなければ成り立たない業務も多いのに、認めてもらえない現状に、感じるストレスもなきにしもあらず。

都築くんという、新人の男の子の余裕の態度に、そのストレスがほんの少し取り払われた気がして。

「じゃ、これで総務部の業務説明を終わります。設計関連の部署に配属されても、総務部との関係は誰もが持っています。
何かあればいつでも連絡くださいね。配属後のご活躍を期待しています」

とても穏やかな気持ちで締めの言葉を言う事ができた。

自分の席に戻った都築くんに軽く笑顔を向けて。

ほっと息を吐いた。

そして、これから始まる各設計部の説明へと空気は変わっていく。

そして。

いくつかある設計部の代表者たちの中に司の顔を見つけて、思わず息を止めた。