ストレートの艶やかな長い髪は、背中の真ん中あたりまで揺れていて、ハンカチを握りしめる手を見れば、指先には凝った柄のネイル。
ピアスだってグリーンの可愛いハート。
お肌の手入れも行き届いているきめの細やかさも目を引いて、きっと男どもは彼女みたいな女の子が大好きなんだろうな、と思う。
そんな周囲からの印象も本人はきっと自覚しているはずなんだろうと感じて、いい気分じゃない。
「告白、したらいいよ。司はちゃんと答えをくれるはずだから」
冷たい私の言葉に、彼女ははっとした。
「司が好きなら告白したらいいじゃない。私がいてもいなくても、どうぞ。
司は人の気持ちを気遣う男だから、ちゃんと返事もくれるよ。
とりあえず、私は……っていうか総務部はみんな仕事が忙しいの。
司とあなたの事をここに持ち込まずに二人で解決してちょうだい」
「でも……」
「司の事が好きなら、その気持ちを伝えなさい。
私の存在うんぬんは二の次でしょ?
あなた自身の気持ちに折り合いをつけるためにも、自分でちゃんとしなさい」
彼女が傷つく事も予想しつつ、突き放したように言葉をかけた。
きっと、私を恨むだろうし司のもとへ言って泣きつくんだろうなあと。
再びため息。
「真珠さんは、それで、いいんですか?私が告白しても」
私に一番近い位置にいる女の子が、じっと私を見つめる。
その瞳からは、司への必死な思いが見えていた。
きっと、昨日今日ではない長い時間、司に思いを寄せているんだろうとわかる。
司に告白すると決めれば、しっかりとそうするんだろうともわかる。
「司に告白をするかしないかは、あなたの自由だし誰にもそれを止められないから。司だって人間だもん、たとえあなたの気持ちを受け入れられないとしても自分を好きだと言ってもらえて嫌な気持ちにはならないと思うわよ」
「……真珠さんは、宗崎さんの事は、好き、なんですか?」
まるで挑むかのような口調で聞いてくる彼女は、口元をぎゅっと一文字に結び、瞬きすらしないままで私の答えをじっと待っている。
私からちゃんとした答えを聞くまでは、決して動き出さないような。
そんな強い気持ちを感じるけれど。
どうせならその強い気持ちを仕事に生かしてほしいと、そう思ってしまうのは年のせいか、それとも、既に司とは結納も交わしている余裕からか。
彼女達からどんなに厳しい視線で睨まれてもへっちゃらだな、と思ってしまう。