塾に入ると、すでにほぼ満員になっていた。
「まゆ!こっちこっち」
あたしを呼んだのは、明日花だった。
明日花というのは
小・中学校が同じで天然かわいい親友。
あたしがふうまくんを好きなことも
明日花しか知らない。
「明日花、来てたんだ。あたしよりも遅いかと思ってた」
あたし達は、部活が違って
明日花がバドミントン部で
あたしが、バレーボール部。
今日はバレー部が前半でバド部が後半だから
もっと、遅いと思ってた。
「うん、超急いだから!それより、あたしの前の席空いてるよ」
確かに、1つだけポツンと空いてるけど・・・
この席、明日花の前にある席って言うより
ふうまくんの隣の席って言う方がしっくりくると思う。
明日花め。露骨に机の上にかばん置いて
誰も座れないようにするなんて
分かりやすいにも程があるんじゃない?
でも、そういうとこ感謝してる。
あたしは、どうもって言いながら
〝ふうまくんの隣の席”に座った。
ふうまくんは、相変わらず
真剣に教材と向き合っている。
この横顔が好きだったなぁ。
左手で書かれるふうまくんの文字は
あたしの書く字より小さい。
ダメダメ!
さっき、しっかりやれっ
て言われたとこじゃん。
勉強に集中しよ。