「王を裏切っていいのか?女王様」
君は僕の知らない妖しい、女の笑みで言う。
「あんなの、親が勝手に決めた許婚だわ。私は元からあんな人好きじゃないわ」
「お金の為の結婚、か……。悪い女(ヒト)だな貴女は」
笑いながら僕の知らない君は言う、僕が居るのを知らずに。
「私が悪いのは知っているでしょう? 前王と前王妃に少しずつ毒を盛っていたのは私なのだから」
「それで貴女を愛してくれている王が貴女に贅沢をさせてくれる、と。俺は貴女に色々してもらって言う事ないが王が可哀相だな」
男は苦笑する。
「あら、そんな事ないわよ? だって私はあの人の前ではあの人の理想の可愛らしい人を演じて、それであの人は幸せそうだもの。」
女(キミ)は男にキスをして続ける。
「それをしているだけであの人は私を嫌う全てから私が嫌う全てから遠ざけてくれるのだもの。」
僕の知らない僕の愛する君の顔した女が笑う。
君は僕に嘘をつき続けていた。
純粋で天使のような
僕を愛してくれている君を
女王は演じていた。