翌日――
俺は7時ぴったしに校舎裏へ行った。
すると、そこには水やりをしている彼女の姿があった。
「よう」
「あ、春樹。おはよー」
彼女は蛇口を止め、俺を手招きした。
「ここの花壇ね、元々何もなかったんだよ。でも私が生徒会にお願いして、花を植えて貰ったの」
「何で?」
「花が好きだから。せっかく花壇があるのに、何もないのは可哀想でしょ?」
「まあ、そうだな」
花にあまり関心がない俺は適当に返事をした。
「本当はもっと植えたかったんだけどね」
声が、悲しみを表していた。
彼女の顔は長い黒髪で隠れて見えないが、悲しみが伝わってくる。
「じゃあ植えりゃ良いじゃん」
「無理だよ」
即答だった。