「そういえば、結局優花のやりたかったことは何だったの?」
「いくら幼馴染みでも教えません。優花との秘密です」
「私は一応、貴方達の先輩よ?」
生徒会長に脅されたが、俺は絶対教えなかった。
「で? 優花とはどうなった?」
「教えない」
原木君も俺に質問責めしてきたが、俺はシカトした。
俺達は暫く、彼女の話をした。
そして、時は夏休みへと入った。
花壇は無くならず、ベンチは別の場所へ置くことになった。
校舎裏に生徒が来るようになったのは、彼女が花を植えてからだそうだ。
綺麗な花を見に、昼休みには沢山の生徒がやってくる。
そのことを俺は、夏休みに入ってから生徒会長に聞いた。
彼女は学校に、校舎裏に、存在を残していった。
蝉が鳴く中、俺は今日も彼女との約束を果たしに、校舎裏へ行く――。