「泣かないでよ春樹。泣かれたら、ここから離れたくなくなるじゃん」
「行かなくて良い」
「それじゃ駄目。あたし、一生成仏出来なくなる」
「優花も俺が好きなら、俺と離れるの嫌だろ?」
俺達は涙を流しながら言い合った。
「そんなこと聞かないでよ……。嫌に決まってるじゃん。春樹とずっと一緒にいたかったよ!」
「じゃあ俺も死ぬ」
「それだけは絶対に駄目!」
「じゃあどうすれば良いんだよ!? 優花のこと好きで好きで……。優花のおかげで学校が楽しくなってきたのに、優花のおかげで人見知り直ったのに……、優花がいないと、俺無理だよ!」
お互いの泣く声が、蝉の鳴き声で消えそうになる。
彼女自身も、どんどん消えかかっている。
彼女を見てられない。