もうすぐこの世から消えてしまうのに、話しかけてくれる人がいた。
それは彼女にとって、もっと生きたいという希望になってたんじゃないだろうか。
「でもね、原木は校舎裏にやってきて、あたしを無理矢理街へ連れていった」
「街って……ゲーセンとか?」
「うん」
俺もかつて、原木君に引っ張られながらゲーセンへ行った経験がある。
原木君は、相当強引な人なんだな。
「海とかも連れていかれたの。しかも、走っちゃいけないのに無理矢理走らされたし」
「え……」
それを聞いて、俺は原木君が言っていたことを思い出した。
“俺、優花のこと何も知らなくて、優花を傷つけた。最低なことした”
彼女を走らせたことを、原木君は言っていたんじゃないのか?