夏休みまで後1日――。
俺は7時ぴったりに校舎裏へ行った。
恐る恐る校舎裏を覗くと、そこには、花に水やりをしている彼女の姿があった。
「あ、春樹! おはよう!」
彼女は俺に気がつき、笑顔で挨拶してきた。
しかし俺は昨日彼女が幽霊だと知り、疑いの目で彼女を見つめた。
「おはよ……」
「どうしたの? 暗いよ」
彼女は水やりを終え、俺に近づいてきた。
「く、来るな!」
そう言うと、彼女はピタリと足を止め、無表情になった。
「その様子だと、聞いたんだね。あたしのこと」
彼女は後ろを振り返り、花壇へ近づいた。
「生徒会長、真由香とのこと、言うね。約束してたでしょ? 絶対言うからって」
彼女が俺の方をチラッと見たので、俺は軽く頷いた。