俺は今日1日、ずっと彼女のことを考えていた。

授業内容なんて、全く頭に入っていない。

俺は急いで花束を持って玄関に向かった。


「根本君、お待たせ」

生徒会長も花束を持ってやってきた。

もしかしてそれは、彼女にあげる花束だろうか。


「何処行くんですか? 優花のところですか?」

「いいから、黙ってついてきてちょうだい」

俺は仕方なく、生徒会長に黙ってついていくことにした。



30分後――。


「着いたわ。優花の自宅よ」

生徒会長がチャイムを鳴らし、中から彼女の母であろう人物が出てきた。

最初は俺を見て驚いたが、笑顔で俺を迎えてくれた。

その笑顔が、彼女によく似ていた。


「こっちよ。ゆっくりしてってね」

目の前には彼女の写真が飾られていて、花や果物が沢山並べられていた。