「どんな奴が好きなんだ?」
「根本には分からねえよ。このクラスにいないから」
このクラスにいない。
そう言われて、何故か彼女の顔が思い浮かんだ。
彼女と原木君は知り合いだ。
十分その可能性がある。
気になるあまり、俺はいつの間にか彼女のことを聞いていた。
「もしかして、優花が好きなのか?」
「え……」
原木君は突然、顔を強ばらせた。
「何々? 原木の片想いの相手話してんの?」
「誰なんだよー、俺らにもいい加減教えろよ」
しかし原木君は黙ったままだ。
「根本、ちょっと廊下出て」
そう言われ、俺は原木君の後ろについて廊下に出た。
「星野優花のこと知ってるのか?」