「何でまた挨拶?」
「今度は笑顔で挨拶なのです」
彼女はまた人差し指を立てて言った。
「笑顔……出来るかな……?」
「出来る! 春樹はちゃんと毎日、ミッションをこなしてるでしょ!」
「う、うん! 優花に応援してもらってるんだから、頑張らないとな!」
俺は手を握りしめ、気合いを込めた。
「これが出来たら、春樹はもう人見知り克服出来るよ」
「よっしゃ! それを聞いたらもっとやる気が出た! 俺、もう教室行くよ! みんなを待つ!」
「そっか。じゃあね」
俺は彼女に手を振り、教室へ急いだ。
「ミッションが終われば、もう春樹とは会う意味が無くなるんだけどな……」
彼女の声は、俺に聞こえる訳がなく、この広い空に消えた。