「植えられてる花は、どうすんだよ」
しかし彼女は答えようとせず、ただただ黙って雑草を抜いていた。
もうすぐ花壇なくなるのに、そんなする意味ねえじゃん。
「花はあたしが貰う。元々あたしが頼んだんだから」
「そっか……。なあ、何でもうすぐ花壇なくなるのに、花を植えたんだ?」
「少しでも、花を多く見たかったから」
彼女の髪が風でなびき、彼女の顔が見えた。
優しい目で花を見つめていた。
その目に、俺まで吸い込まれそうな気分になった。
しかし、誰かの足音が聞こえると鋭い目付きに変わった。
「来る!」
彼女は校舎裏の奥へ隠れた。
「は?」
俺は訳が分からず、呆然としていた。
「あら、先客がいたのね」