「なんか言えやー。好きやって言うてんねんから」


黙り込む私に困ったように、秋が冗談めかして言い、私の頭をくしゃくしゃと撫ぜた。

【す】と【き】
たった2文字の言葉。

今、それが、秋の心から、秋の声に乗って、空気を震わせ、私の鼓膜に響かせ、そして。


私の心を打ち震わせた。


信じられない。

そんなたった2文字の言葉が、涙腺を破壊するなんて信じられない。

悲しいわけでもないのに、涙が、ころころころころ転がり落ちて、握り締めた私の手の上で弾け散る。