これは現実だから、私はヒロインにはなりきれないかもしれない。

バッドエンドで終わるのかもしれない。


それでも、この胸の隅っこに小さく芽生えた想いを捨てたくはないと思う。

ドアノブに手をかける。

ひやりと冷たいそれが私の体温を奪い、ほんの少し弱気にさせる。

でも、このドアを開けなければ、何も始まらない。


私の恋は、今ここから始まるのだから。