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「………ん、」


うっすらと覚醒しきる前、微睡む意識がぼやけた視界を生む。


「に、な………」


口からでた名前に自ら、目覚める。


「ニナッ!!!」

「お、起きたか。」


聞きなれない声が上から降ってくる。
ぼやける視界をひっしに睨んで。声の主を探す。


「すまねーな、金目のモノをとってくるつもりだったんだが、生憎人が多くてな。」

「………ニナ、は」

「ニナ?あぁ、あの連れか。」

「どこやったんですかっ!!!」

声を荒げると落ち着け、と言わんばかりのため息をつく。


「何もしちゃいねーよ。今頃、誰かに発見されてるんじゃね?」


つまり、


「ここには、いないんですね。」

ちょっとひと安心。


「おっと、安心するのは違うだろ?お前、自分の立場わかってんのか、」

「わかってますよ。卑劣な手を使った誘拐犯に縛られてる状況です。」

「なっ!!おまえっ」


あれ、違う声が聞こえる。
暗いからよくわかんないんだよ。倉庫っぽい場所だと思うけど。


犯人は複数犯かな、4人くらいの気配がする。


手と足が縛られてるけど、けっこう緩め。もうすぐしたらとれる。