何故か、目が離せなくて。
止まったままの私を見てニナがふわりと笑う。


「いきましょうか。」

「え、いいの?」

「はい、だってなつかさまのための気分転換ですから。」


歩く先には、アクセサリー店。
その中でも私が見たものは。


「綺麗………」


黒い、ブレスレット。


黒い球体の石がネックレスと同じような輝きを放って。


――魔王さん、みたいだと思った。


「陛下にお土産屋ですか?」


隣にいたニナが優しさを含んだ声で聞いてくる。


そっか、お土産。


「お土産に、する」


ブレスレットを見ながら自然と笑みが浮かんでた。
ニナもそれを見てひとつの提案をしてきた。


「お揃い、になさってはいかがですか?」


―――例えば、


ニナが手に取ったのは、私が手に持ってるものとおんなじカタチの、ブレスレット。



淡いグリーンと、オレンジと黄色を混ぜたような二色の色の石が交互に並んでる。


「かわいい………」


見ていて、温かくなるイロ。


「私にとってはなつかさまのイメージ、そのままです。」


優しい眼差しは私に涙を誘う材料でしかなくて、頬に涙が伝う。