「ねぇ、なつか。貴方は何処から来たの?」
「はぅ、」
モグモグ、ゴックン。
わー、このサンドウィッチ絶品です!
キャベツらしきものと、マヨネーズらしきものと、チーズらしきものと、ハムらしきものとが挟まれててシンプルだけど、おいしーんだよっ!
「地球っていう星の中にある小さな島国で日本っていう国から来たのです。」
「それは、どんな国?」
「えっとねー……」
思わず、思い浮かべる光景にふと思考が止まってしまう。
桜舞い散る、中に佇むあのひと。
「なつか?」
ボーッとしていたのだろう、スヒィーさんが肩を軽く叩く。
「………え、あ!ごめんなさい。ちょっと懐かしくて、えっとですねー、お寿司と言ってご飯の上にお魚をのせる食べ物とか、小麦粉を練って作るおうどん、とか。私、日本食大好きだったんですよー、洋食も好きなんですけどねー。」
慌てて思い浮かべたあの、光景を消そうとする。
笑え、笑え、自らに暗示をかけるように何度も繰り返す。
「そう、なつかはご飯が大好きなのね。」
「え、あ。はいっ!!私、ご飯食べてるときが一番、幸せなのですよー。」
上手く、誤魔化せたかな。
気づかれちゃいけないんだ。
―――あんな、出来事なんて。